仕事をはじめて最初にぶち当たる壁が、業界用語。なんの説明もなく「ネコ持ってこい!」なんて言われても、「え、動物の猫ですか?」って感じだし、時にはネットで調べても出てこない用語で指示されることだってザラにある。そんな時にヒントにしてほしいと思い、今回は基礎屋のスラング(身内のみで通ずる言葉のこと)を紹介したい。知らない人は知ってもらいたく、知っている人は「この言葉使うのウチだけじゃなかったんだ」的な感じで楽しんでみて。
illustrator nikapu text Monyadams
チドリ
縦や横などにそろえず、上下左右へ交互にずらしながら配置することを指します。ジグザグに歩く千鳥足から派生したと考えられています。杭などを稲妻状に施工することも千鳥に並べると言います。ドライウォール工法の石膏ボードや剛床の床合板などの強度を高めるために、互い違いに張ることを「千鳥張り」とも呼びます。ま目違いが起きにくく強度が増すという利点があります。
バリ
コンクリートや鉄製品などの角に飛び出してしまう板状の物のこと。本来必要としていない部分であり、仕上がりということを考えると邪魔な物になってしまうため、除去する必要があります。金属の場合には、プレスなどで発生することがありますが、切断した際に残ることも。コンクリートのバリは、型枠が大きな原因となってきます。本来は水密性を上げてまったく漏れてこないことが望ましいですが、完全な物を作り上げるのは不可能。少しでも大きな隙間ができていくと、この部分にセメントが流れ込み、脱型したときにばりとなって残ってしまうことがあるので、きれいに取り除かなければならない。
ベタ基礎
ベタ基礎とは、鉄筋を入れた土台部分にコンクリートを流し、大きな面で家の重量を支える基礎工事です。面にすると荷重を分散できるので耐震性が高くなる、施工がしやすいというメリットがあります。一般的な戸建て住宅の基礎工事は、ベタ基礎が多く採用されています。
地盤改良
地盤改良とは、地盤沈下や液状化のおそれがある弱い地盤を補強し、住宅が建てられる状態にする工事のことです。住宅を建てる前の地盤調査の結果を踏まえ、必要性を見極めたのちに地盤改良工事をおこないます。地盤改良工事は、セメントで地表を固める表層改良工法、円柱状の改良杭で建物を支える柱状改良工法、鋼管で地中から建物を支える小口径鋼管杭工法があります。
地縄
地縄とは、敷地内で建物を建てる位置に縄を張り、境界(隣地との境)、配置の間違いや残地など確認する工事です。隣地との境界はトラブルに発展するケースが多いため、地縄工事で施主と隣地の持ち主に対し、どのような建物が建つかをイメージしてもらうことに役立ちます。
墨出し
墨出しとは、建設現場のあらゆる工事において、実寸の設計図を書く工事のことです。地形の計測から仕上げ工事まで、墨出しはすべての工程に携わります。大規模なビルや特殊な建造物を建てるには、精度(品質)の高い基準墨と基準レベル、設計図通りの正しい位置出しなどが求められます。
鉄筋組み
鉄筋組みとは、基礎の強度を高めるため、コンクリートを打ち込む前に鉄筋を配筋する基礎工事の作業を指します。鉄筋組みは基礎の強度を高めるだけなく、コンクリートのクラック(ひび割れ)を防ぐために欠かせない作業です。
土壌処理
土壌処理とは、基礎の床下土壌に薬剤を散布し、シロアリが建物に侵入するのを防ぐことです。薬剤は液状のほかに、土壌の水分蒸散を防止する土壌表面皮膜形成タイプやシートを使う場合もあります。
盛り土
盛り土とは、低地や斜面を平らにするために、土を盛って造成することです。土地の造成方法は盛り土のほかに、土地を削って造成する切土(きりど)という方法もあります。宅地造成の際は、切土で出た土を盛り土として使い、強度が弱い場合は地盤補強工事を合わせておこなう場合もあります。
アンカーボルト
アンカーボルトとは、構造用の部材や設備機器などをコンクリートに固定するネジのことです。設備の転倒や地震対策に役立ちます。アンカーボルトは役割や仕組みによって種類が別れているため、アンカーボルトの特徴や使い方、材質、ネジの呼び径や全長などを確認しなければなりません。アンカーボルトはコンクリートを打ち込む前に使うタイプのほかに、凝固したコンクリートに穴を開けて打ち込む、溶接で固定する、ネジを締め付けて固定するなど、さまざまなタイプがあります。